スローガン

理事長所信

私たちは家族や社業の貴重な時間を使い、なぜJC活動・運動を展開するのか?
皆、一度は考えたことがあるのではないだろうか?また、その答えが出ていないメンバーも多いのではないだろうか?同じ時間、同じ投資を行うのであれば少しでも自分の中に落とし込んで活動するべきである。
今一度、立ち止まって自分自身問いかけてみてほしい

青年経済人として、この地域に何ができるのか?何を遺せるのか?

 

次の時代を築くのも我々青年の役割である 

 「新日本の再建は我々青年の仕事である。更めて述べる迄もなく今日の日本の実情は極めて困難に満ちている。この困難を打開してゆくため採るべき途(みち)は先ず国内経済の充実であり、国際経済との密接なる提携である。」
(東京青年会議所設立趣意書より抜粋)

 戦後の荒廃から、日本の復興と経済成長の先にある「明るい豊かな社会の実現」を志し、立ち上がったJAYCEE。その設立理念が導くように、日本は見事に戦後の復興、経済成長と遂げ、国際社会での高い地位を獲得しました。先輩諸兄の尽力のおかげで、我々は経済的に豊かな生活を送ることが出来ていることを感謝しなければなりません。

 その一方、日本は平成に入り、失われた30年と言われ、ほとんど経済成長していないのが現状です。30年間、日本人の平均給与はほとんど変わっておらず、GDP成長率は2021年には世界第157位となっています。さらに2020年初頭にはじまった新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、人々の生活は一変しました。これまでの当たり前が当たり前でなくなり、これからの新たな時代を迎えるにあたり、我々の前には多くの問題が立ちはだかっています。脈々と受け継がれてきた多くの先人たちの知恵や功績に恵まれる我々は、昨日より今日、そして明日の社会をより良くできるはずです。

 

なぜ青年会議所が必要なのか 

青年会議所とは何なのか?

 私たちがこの組織に属している目的は何だろうか?
青年会議所が存在する一番の目的は、住み暮らすこの地域の発展だろうか?
それならばなぜ40歳という年齢制限があるのだろうか。地域の発展だけを目的とした組織であれば、年齢制限など必要ないはずです。青年会議所はなぜ単年度制を採用しているのか。何年も同じ役職を務める方がよりうまくこなせるはずです。この地域の発展を第一とするなら、単年度制などやめてしまった方が良いのではないでしょうか。

青年会議所とは何なのか。それは「自己成長のための最後の学び舎」です。

 私は2016年、青年会議所に入会しました。その時は青年会議所のことをなにも知らずに入会した私は、ある例会の懇親会の場で先輩に「青年会議所って何なんですか?なにするところですか?」これは本当にこれから活動する上で、この組織の意味を知りたかったために質問しました。当時、新入会員の私に先輩は私にこう教えてくれました。

「青年会議所は学ぶ意欲があれば、どれだけでも機会が準備されている、そして卒業後が本当のはじまりだ」

 当時はピンとこなかった言葉も入会後7年が経過し、様々な経験をさせていただき、多くの後輩もできました。「青年会議所って何なのか?何をするところなのか?」ということはずっと疑問に持ちながらも運動・活動していく中で、ふとした時にその意味を理解しました。『誰がこの地域をつくるのか』我々が住み暮らすこの街をつくっているのは誰なのか。きっと誰かがやってくれていると思ってはいないだろうか。自分たちが住み暮らす地域は自分たちで創っていかなければならないはずです。私の次にこの組織を支えていく後輩にもこのことを伝えることが私の使命だと考えます。

 青年会議所は「知識と経験を身につけ、卒業後に誇りをもってこの地域を支えていく人材(リーダー)を輩出し続けること」これが青年会議所の存在意義なのだと考えます。

 そのために、私たちは日々成長し続けなければなりません。そのための多くの機会を得ることができること、そして毎年違う役職を務め、ゼロからのスタートを繰り返す。事業を通じて、この地域の社会課題や現状について自分なりに向き合い、何もできなかった自分が、何も知らなかった自分が1年を終える頃には確実に成長しているはずです。同じ役職を続けて負荷が軽くなると、それはただ単に役割をこなすだけとなってしまい、この組織の存在意義には反することではないでしょうか。そしてまずは多くの機会を自らの手でつかみ取り、自身の血肉に変え、リーダーとして成長してほしいと考えます。

 

我々はJAYCEEとしてどうあるべきか

「失敗を恐れることより、真剣でないことを恐れたい」
これは松下幸之助の言葉である。

 私たちは能動的に真剣に物事に取り組み、成功や失敗の経験を繰り返し、多くの知識を学び得て次に活用しなければなりません。そして、どんな困難が立ちはだかろうとも、断固たる決意をもち、志を立てて活動していく集団です。現状に満足せず、何事にも挑戦し続けるという強い意識がなければ、瞬く間に活力を失うし、何かに恐れ挑戦しないリスクは、失敗するリスクよりもはるかに大きいはずです。不平不満やできない理由をならべることはとても簡単です。最初から無理だと思うのではなく、成長の機会であると前向きに捉え、どうやったらできるかを考え、何事にも真剣に全力で挑戦していただきたい。私たち青年が、自身を律することで自らを磨き、揺るぎない信念を持って青年会議所運動を展開することが、常に地域に頼られる組織としてあり続けると確信します。青年としての英知と情熱を結集させた運動を実践に移すこと、情熱溢れる行動を力強く展開することこそが我々の責務のはずです。
まずは与えられた役職に対して、前向きに取り組んでみてほしい。そして全力で向き合う事が自分を大きく変えるきっかけになるはずです。

 

すべてが変わってしまったことを変化の機会と捉えて

 2020年初頭に始まった新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにより、これまでの日常は消え去り、社会の様相は一変しました。何も気にせず街を出歩くことが、最近になってようやくできるようになったと感じます。2022年に入り、ようやく緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、少しずつではあるが日常を取り戻せるようになってきたと言われています。ただ、その間にも世の中では大きな変化も起こりました。行政手続きでのハンコレスやZOOMを活用したWeb会議などテクノロジーを活用し、これまで以上に世の中が変化したことは間違いありません。
特にZOOMは私たち青年会議所メンバーとしても多くの活用の場面があるのではないでしょうか。現地で参加しなくてもZOOMを活用すれば、どこからでも会議に参加できるようになったのは非常に便利になる一方、リアルで行っていたときに得ることができた、人と人とのつながりや触れ合いから生まれるアイディア、何気ない会話から生まれていた気づきが少なくなっているように感じます。ただ今後はこのテクノロジーをフル活用した世の中に変化していくことは間違いありません。このリアルの良い部分とテクノロジーを活用した新しい会議や定例会を開催していくことを学ぶ必要があるのではないでしょうか。新しい時代に対して我々が考える新しい価値観や手法を提供することが必要だと考えます。

 

規律ある例会運営とメンバー研鑽

 私が入会した2016年には会員数は過去最少の20名スタートでした。しかし、その年に20名の新入会員を迎え入れ、これまで多くのメンバーで活動してきました。今、また期首会員が19名になろうとしています。加えて入会3年未満のメンバーが半数を超え、これまでの組織運営が難しくなってきていることは間違いありません。JCの良い部分である、オンとオフの切り替えもあいまいとなり、入会した当初の凛とした定例会ではなくなっていると感じます。変えるべきところは変え、受け継ぐべきところをきちんと受け継ぐべきだと考えます。
青年会議所ではセレモニーとして毎月の定例会を開催しており、月に一度メンバーが集まり顔を合わせ、様々な研修や情報交換や交流をとおして、お互いに刺激し合いながら学びを得る場です。定例会は本来厳格な運営が行われ、緊張感をもって参加することで、様々な会合に出席した際にも物怖じせず参加することができるはずです。また定例会内でのスピーチや研修を通じで「機会の提供」を行うことで、社会で活躍できる人材として資質向上につながると確信しております。定例会を学び場とするために趣向を凝らし、真にメンバーが成長できる場とします。

 

最高のリカレント教育の場としての青年会議所

 今日、大学までの学びで一生を食べて行けるような世の中は既に終わりを迎え、人生100年時代と言われる昨今、日本の少子高齢化も併せて考えれば、65歳で現役を退ける時代はすでに破綻しているのではないでしょうか。人の寿命は伸び続けてはいるが、企業の寿命はますます短くなり、一つの企業で一生勤め上げるということは不可能に近いと考えます。
日本人の社会人における強時間は先進国でもダントツで少ないというデータもあるように、社会人になってから学んでいないことが分かります。リカレント教育とは「反復循環教育」であり、日々凄まじいスピードで変化する世界において、社会人になったあともの、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていく社会人の学びのことです。
青年会議所での学びは社会人、青年経済人にとって最高のリカレント教育の場ではないか。常に我々が自ら学び、気づきを得て成長することが、選ばれ、この地域社会に必要な組織となる条件の一つであることは間違いないと考えます。

 

この組織を未来につなげるために

 2023年度の期首会員数は19名とこれまでの過去最低からのスタートとなります。この状況が続けば白山青年会議所が創立55周年を迎える年にはメンバー数が10名以下と持続不可能な状況に陥り、解散も視野に入れなくてはいけません。青年会議所が持続不可能になってしまうと、地域にリーダーを輩出する団体が1つ失うこととなります。そうなれば地域が衰退する可能性が高いと考えます。これまで以上にこの地域の次代を担う青年経済人を仲間として迎え入れことが必要不可欠です。本来であればこの白山市は県内で第2位の人口を誇り、その白山市を活動エリアとした我々は会員数も同様に県内で2位でなくてはならないと考えます。数が多いことがすべてではありませんが、仲間は少ないより多いほうがいいに決まっています。これまでの先輩方も毎年取り組んできた会員拡大を本年度はメンバー全員が一丸となって行います。本年度は、卒業生を中心とした会議体をつくり、これまでの自分たちの運動・活動を含め、多くを伝播させていただき、全員をまきこみながら会員拡大を行います。そしてこの組織が私たちに続く後輩たちに素晴らしい学び舎である白山青年会議所を残していくために、全員で熱意をもって会員候補者に伝えていこう!「ここでやらなくていつやるのか」という精神で熱意と行動力をもって邁進すれば必ずや白山青年会議所は再び活気ある組織となれるはずです。

 

他団体との連携の必要性

 私たちはこれまで、ALL白山青年サミットの締結調印、2018年に白山市社会福祉協議会との「災害時における協力に関する協定」、2019年に白山市役所と「持続可能な開発目標(SDGs)における達成推進に関する連携協定」と他団体との連携をしてきました。しかし、地域の問題も多様化・広域化していることから、これまでと同じような活動をするだけではなく、多様性に対応すること、そして他団体を巻き込んで事業を行うことが必要ではないでしょうか。
また外部団体との連携はもちろん、同じブロック内にある他LOMとの連携も必要ではないでしょうか。現在では石川ブロック内で30名を超えるLOMは金沢青年会議所のみであり、残りの8LOMは会員減少に歯止めがかからない状況です。同じ悩みを共有し、それぞれのLOM同士が連携することで、会員拡大につなげることだけでなく、よりインパクトのある運動を発信すると共に、メンバーにとっても素晴らしい経験になると確信しています。私はこれまで入会してから毎年のように石川ブロック協議会や日本青年会議所に出向させていただいております。LOMだけではできない経験をし、多くの仲間に恵まれました。LOM同士が連携することで、より地域の活性化につながると考えます。

 

地域の未来のために

 近年は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、大きな行事の開催を断念してきました。それは同時に子供たちの経験や体験を通じて学ぶ機会が減っているのではないでしょうか。インターネットで調べれば情報を得ることが当たり前となった今、何かを知っていることに価値がなくなりました。最も必要なことは自らが得た情報を精査し、それを元に考え行動し多くの失敗をする、そしてどうすればより良くなるかを自分自身にしっかり落とし込み挑戦し続けることだと考えます。私の考える青少年育成とは、我々が事業を通じて、子供たちに失敗と成功の経験を提供し、そこから次はどうするのかを考え続けることではないかと考えます。
少年期にそういった経験が、大人になった時に物事を考える時に大きく影響することは間違いありません。子供たちが失敗と成功を体験できるような青少年育成事業を推進し、この地域の宝である子供たちが成長することで、この地域の未来を明るいものにすることができると確信しています。

 

仕事もJC活動も楽しもう!

 私が入会した当初、仕事と両立できるかを非常に心配しておりました。時代の移り変わりが激しいこの現代において、企業を維持していくことも非常に厳しい状況にあります。新設法人の10年継続できる企業は6%、20年継続できる企業は0.4%以下と言われる中、本当に必要とされる企業になるためには、企業の存在意義は何なのかを改めて深く落とし込み、より付加価値を付けたサービスの充実や時代に合わせたサービスを提供する必要があります。我々は青年経済人として大切な家族を守る責任や地域の未来を担う責任を抱え、そしてまわりに流されず行動し、知識や見識、経験値を高め公私の充実を図らなければなりません。

 JC活動を真剣に取り組み、入会してから数年間のうちにお客様の半数以上がJC関係者となったという話を聞く一方、JC活動に注力しすぎて会社をつぶしたという話もまれに聞きます。JCで忙しくて会社を潰したということは言い訳にしかならず、社会においてすべてが自己責任であり、自己の成長だけが環境を変えることができると思います。40歳という限られた時間の中でいかに多くを吸収できる青年世代だからこそ、仕事とJCの両立に向き合ってみてほしい。

ある先輩から言われたことがある。
「JCで活動すると、どうすれば活動時間を捻出できるかを常に考える。おれはJCが理由で業績を落としたことがない」

 多忙だからこそ選択と決断が早くなり、思考のアップデートが行われることで、JCで培った判断力や思考をフル活用して仕事に活かしている。たった一度の人生だからこそ、自己研鑽で多くの学びと人生を豊かにする大切な仲間を得ることができるJCライフを楽しんでほしいと考える。

 

結びに

 現在、日本国内にある400万社以上ある企業のうち2025年には経営者が70歳以上の企業が約245万社まで増加し、そのうちの約127万社が後継者不在による廃業・倒産の危機に直面するであろうと予測されています。これは企業を承継していこうというリーダーが不在であることも原因の一つではないでしょうか。我々は「明るい豊かな社会の実現」に向けて運動・活動を行い、リーダーとして地域で活躍できる人材を輩出することがこの組織の存在意義であると考えます。「JCしかない時代」から「JCもある時代」になり、いよいよJCとしての存在意義が試されています。今こそ私たちが一丸となり、地域を変えていこうではないか。自分たちの夢を真剣に語り、世の中に自分たちの考える姿を示し、それを実現するために仲間や、様々な団体と連携し、覚悟を持って実現していこう。それが青年会議所の価値であり、志を高く持ち夢に向かって全力で邁進できる青年会議所だからこそ、明るい豊かな社会にすることができると確信します。地域が衰退すれば、産業も衰退する。私たちの活動に未来がかかっている。まずは全員が同じ方向を向いて全力でJC活動を一緒に楽しもうではないか。

一般社団法人白山青年会議所
2023年度理事長 石村 岳史